本日は、マケキャンでキャリア責任者を務める谷口さんと、マーケティング会社の役員でありながら、マケキャン講師として数々の受講生を送り出してきた植田さんをお招きし、「未経験転職者が上京すべき理由とメリットとは」というテーマで、転職市場の実態や地方・首都圏によるビジネスの違いなど、赤裸々に語っていただきました。
現在「上京すべきか迷っている」「どのような観点で勤務地を決めるべきか分からない」というお気持ちの方は、是非参考にしてみてください。
マケキャンキャリア責任者:谷口 皓一 (たにぐち こういち)
グローバルヘッドハンターとして国内外の転職者支援/企業採用支援/マネジメントを経験。 ミッドキャリア〜CXOの支援までを得意とし、外資系キャリアセミナーにて公演も行う。 WEB・ITにおける人材不足問題の解決に際し初期段階での精度高いキャリアカウンセリング、採用支援の必要性を感じ、 手前の営業都合を優先しない「候補者、企業双方へ将来に渡り大きな価値提供」を目指し株式会社インフラトップ/マケキャンbyDMM.comに入社。
マケキャン講師:植田 富大(うえだ とみひろ)
株式会社SGP執行役員。前職は広告配信プラットフォーム会社にて3年間、メディアバイイング/事業開発/広告運用に従事。プラットフォームの流通規模は単月数10万程度から数億程度まで拡大。
その後に独立、株式会社SGPを共同創業。現在では執行役員として広告運用やWebコンサル事業、コンテンツ制作を統括。年間6億円規模の広告を運用。金融や婚活の広告運用が得意領域。数値細分化や集計/分析を得意とするマーケター。
Webマーケター転職者が上京すべき理由とは
ー 谷口さん・植田さん、本日はどうぞ宜しくお願いいたします!まず始めにお二人の今までのご経歴を簡単に教えてください。
谷口:よろしくお願いします!
改めて、現在マケキャンでキャリア責任者をしている谷口と申します。
前職では、グローバルヘッドハンターとして国内外の転職者支援を行なっておりました。
主にデジタルマーケティングやWebエンジニアなどのIT業界からコンサルティング業界などを得意領域とし、過去複数名の方にキャリアアドバイスを行なってきました。
その後、2020年にマケキャンに参画し、現在はキャリア責任者を務めさせていただいております。
植田:現在、株式会社SGPというマーケティング会社にて執行役員をしながら、マケキャン講師としても関わらせていただいている植田と申します。
経歴としては、広告配信プラットフォーム会社にて約3年間ほどメディアバイイングや事業開発、広告運用に従事した後、その後は独立して現職である株式会社SGPを共同創業しました。
現在は執行役員として、広告運用やWebコンサル事業、コンテンツ制作などの統括をしています。
本日はよろしくお願いいたします!
ー それではまず谷口さんにお伺いしていきますが、一般的な転職市場の話として、地方と首都圏での求人数の違いを教えていただけますか?
谷口:結論から申しますと、Webマーケターを含む情報通信産業の求人の多くは、圧倒的に東京に集中しています。
総務省が出している統計データでも示されていますが、ざっくり関東圏内(東京・神奈川・千葉・埼玉)で求人の約6割を占めており、残りの1割を大阪、残りの3割を他の地方県が占めているといった状況になります。
ー なるほど。東京を中心とした首都圏に求人が集中するのはどういった理由からだと思われますか?
谷口:様々要因がありますので一概には言えませんが、個人的には3点ほど理由があると思っています。
まず一つ目が、地理的な理由。
日本という国柄、何か事業をするにあたって政府の規制が非常に厳しいというのが特徴の一つです。
そのため、何かにつけて政府にお伺いを立てる必要があり、多くの会社が本社を東京に構えてスピード感を持って動ける体制を作っている、というわけですね。
メーカーなど物を扱う会社であれば、製造や調達に適した立地を選ぶ必要があるかと思いますが、IT企業は取り扱う物がなく知識集約型の産業になるため地方に拠点を構えるメリットがあまり多くないんですよね。
なので、特別な理由がない限り、東京など首都圏でビジネスをしようという会社は非常に多いと思います。
二つ目は、イノベーションの起こりやすさ。
先ほどもお伝えした通り、IT企業は知識集約型の産業になるため、どれだけその領域に対して知見を持っている人たちとコネクションを築けるか、が事業成長やイノベーションの原動力になります。
オンライン会議ツールなどデジタルを介してでももちろん人と繋がること自体は可能ですが、お酒の席などクローズドな場でビジネスの話が進むような文化が浸透している日本では、やはり対面で会える場所にいた方が何かと都合が良いと言うわけですね。
最後は、優秀人材との接点の多さ。
これは単純な話ですが、首都圏には偏差値の高い主要大学が集中しているため、そこには自ずと優秀な人材が集まっています。
歴史的な観点から見ても、ルネッサンスあたりの時代から現在のシリコンバレーの時代に渡って、人々は相互に影響を与えあって進化を遂げてきたという過程があります。
その中で、優秀な人材の周りには自然と優秀な人材が集まり、そこで次々とイノベーションが起こっていくという流れがあり、それが日本の場合は東京だった、と言うことですね。
ー 様々な理由から首都圏に求人が集中しているのですね。植田さんは現在まさに東京でビジネスをされているわけですが、東京で事業を行うメリットなど感じられることはありますか?
植田:間違いなく感じます。
谷口さんが仰っていることも全て納得がいきますし、さらに付け加えるとすれば、マーケティング領域で強い権限を持っている企業は大半が東京に本社を構えているため、東京にいた方が比較的ビジネスの話が早い、と言うことはよくあります。
あとは、広告代理店などは各媒体の最新情報を常にアップデートして顧客に提案できる状態を作る必要がありますが、そういった媒体社も多くが東京に拠点を構えているため、首都圏から先に最新情報が入ってくるということはよくあります。
そういった意味でもやはり、 首都圏の方がビジネスの選択肢が広がりやすい、というのは日々肌で感じるところですね。
谷口:確かに情報アップデートが早い、という観点はありますね。
地方と首都圏だとどうしても多少の情報格差は出てきてしまうため、地方でもWebマーケターになれないわけでないですが、入社してからの成長速度という観点から考えると、地方の方が苦労は大きいかもしれません。
未経験転職者がフルリモートで働くことは可能?
ー 地方にお住まいの方々の中には、フルリモートで東京などの企業に転職したいと考える方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
実際に未経験の方がフルリモートで働くことは現実的なのでしょうか?
植田:Webマーケターという職種で言えば、不可能ではないが難しい、というのが個人的な見解です。
Webマーケターに限らず、やはりオンライン環境下におけるコミュニケーションでは「教える側の日本語力」や「受け取る側の解釈力」が高いレベルで求められます。
さらに、業界柄情報のアップデートがものすごく早く、顧客とのやり取りなども常にリアルタイム性が求められます。
そのため一定の業界経験を積んで独り立ちしている方であれば、ある程度はリモートでも可能かもしれませんが、完全に未経験となると上司や先輩メンターなどとリアルタイムに声がかけ合える環境がやはり望ましいと考えます。
谷口:私も同じ見解ですね。
付け加えるとすれば、フルリモートだと配信ミスなど事故が起きてしまった際の対応が極めて難しいと思います。
その後のリカバリーに圧倒的なスピードが求められるので、いちいち上司や先輩にメッセージを送ってその返信を待って・・・とやっている時間はなく、オフィスで近くのメンバーに声をかけ合って協力しながら対応していくという体制がどうしても必要になる認識です。
植田:仰る通り、日々どれだけ気をつけていても小さなミスやトラブルは必ずおきますので、その際にどれくらい俊敏にリカバリーできる体制を構築するか、は非常に重要なテーマですね。
余談ですが、実際に弊社もコロナ禍において一度フルリモートへの移行にチャレンジしたことがあったのですが、まあこれが面白いほど上手くいかなくて・・・(笑)
共同創業の2名で会議などを完全オンライン化してやってみたのですが、デバイスの接続に時間はかかるしちょっとした相談事をするにもハードルが上がってしまい、結果生産性が大きく下がってしまいました。
私を含むそこそこベテランのメンバーでさえもこんな具合なので、未経験の方であればさらに難しいのではないかと思います。
ー なるほど。お二人とも未経験者のフルリモートは難しいという見解でしたが、逆にフルリモートでも活躍できるWebマーケターとはどのような方なのでしょうか?
植田:先ほども申し上げた通り、一定の業界経験は必要ですね。
型にはまらない仕事でありイレギュラーも多く起こるため、今までの知見や知識を頼りにその状況に応じた適切な判断を自ら下せるかどうか?という点が非常に大事になってきます。
さらに、スピード感を持って仕事ができるか、高いコミュニケーション能力があるか、など能力ベースでも色々なことが求められるかと思います。
谷口:少し視点を変えてHR的な観点からお伝えすると、Webマーケター自身にもハイレベルな能力や経験が求められますが、そもそも受け入れる側の企業にもそれなりの体制が求められると思います。
そもそもIT業界自体が産業として新しいので未完成で若い会社が多く、それに加えて業界の変革スピードがものすごく早いため、どうしても現場の第一線で働けるプレーヤーの採用が第一優先になりがちなんですよね。
そうすると、人事設計や組織開発が後手に回りやすく、そもそもフルリモートで働けるほどの環境が整っていない、というのが実情だと思います。
個人的な見解ですが、フルリモートを実現するためには以下のようなファクターを満たしている必要があると思っています。
・強固な戦略があり、何をすれば事業が成長するかが明確に定義されているか
・組織やカルチャーが形成されており、明確な行動方針が定められているか
・評価などの人事制度がしっかり設計されており、さらにそれを管理するシステムが整っているか
・高いコンピテンシーやスキルを持った優秀な人材が確保できているかどうか
このような要素をしっかり満たせば、フルリモートは物理的には可能なのですが、どの会社も後手に回りがちなため、現状は受け入れられる会社が少ないといった感じなのではないでしょうか。
地方出身者のWebマーケターとしてのキャリアプランは?
ー 地方出身者の方が一度上京されて、その後地元など地方に戻って活躍する、というケースもあるのではないかと思いますが、実際にそのようなことは現実的なのでしょうか?
谷口:十分考えられると思いますね。
先ほどの話でも上がった通り、一定の業界経験があって仕事を一人でこなせるようになっていれば、それだけ働き方の選択肢も多くなりますし、最近では地方でのマーケティング需要も増えてきているため経験を活かすチャンスはあると思います。
それこそ、広告代理店で培った経験を活かして、地方のメーカーなど事業会社のマーケターとして転職する、みたいなことは全然ありえる話かと思います。
ー なるほど。一度上京して経験さえ積んでしまえば、その後のキャリアプランは色々と広がりそうですね!一方で「どうしても地方から出られない」という方は、Webマーケターとしての転職そのものを諦めざるを得ないのでしょうか?
植田:Webマーケターという仕事の範囲をどう捉えるか次第ですね。
正社員として広告代理店などでしっかりキャリアを積むこと以外でも、Webマーケティングに関わることはできる。
例えば、最近ではクラウドワークスなど副業サービスを使えばWebマーケティング関連の仕事も多く出ているため、勉強してまずは副業でそういった仕事に関わってみる、など本気でやりたいと思うのであればいくらでも接点を持つ方法はある気がします。
谷口:今日話してきたような事情を踏まえた上で、それでもやっぱりWebマーケターとして転職したい!と思うのであれば、それは諦めるべきではないでしょうね。
地方に全くチャンスが無いというわけではありませんから。
ただキャリアアドバイザーとして願うことは、キャリアを中長期的な視点で見てほしい、ということです。
Webマーケターとして未経験で修行を積む期間は、長い人生から考えればほんの2〜3年間程度だと思います。その時間を、フルリモートができないからと諦めてしまうのか、将来の自分のための投資だと考えてチャレンジするのか。
その答えはもちろん人それぞれですが、ぜひ後悔のない決断をしていただきたいな、と。
そしてマケキャンはそういった受講生一人一人の生涯キャリアに向き合って全力でサポートする場所なので、安心して飛び込んできてほしいと思います。
植田:Webマーケターとして長く経験してきた立場として、経験を積めば、その後の選択肢が拡がりやすい業界だと感じます。
谷口さんが仰る通り、長いキャリアから見たらほんの一瞬なので、その間だけ少し動き方を変えてみて、ぜひチャンスを掴んでいただきたいな、と思います。
そしてもしマケキャンでご縁があれば、講師として皆さんのチャレンジを全力で後押しします!
ー 谷口さん・植田さん、素敵なお話をありがとうございました!マケキャン受講を検討されている方々には、今後の長いキャリアも見据えて、ぜひ後悔のない決断をしてほしいですね!
マケキャンでは、「納得感ある転職」を実現するために、マケキャン独自の様々なサポートを行なっています。サービス内容に関するお問い合わせや、転職についての相談は、無料カウンセリングにて承っております。是非ご相談ください。