誰でも直感的に始められるサイト運営プラットフォーム「Ptengine」を運営する株式会社Ptmindと協業し、第1回目8月31日(火)、第2回目9月4日(土)にて、マケキャン by DMM.comの受講生・卒業生を限定にLPOの基礎から実践的なノウハウまで学べる、特別セミナーを共同開催いたしました。
セミナー概要
開催日:2021年8月31日(火)
登壇者:株式会社Ptmind Ptengine Senior Specialist 窪田 知昭 氏
セミナー内容
坂本:今回は、マケキャン講義の領域外の知識を習得し、より優秀なマーケターを目指していくということで、LPOに関する基礎的な知識をPtmindの窪田様に解説いただきます。
宜しくお願いいたします!
窪田氏:宜しくお願いいたします。まずは自己紹介をさせていただきます。
私は株式会社Ptmindにて、マーケティングチームのチームリーダーを務めている窪田と申します。
私自身、広告代理店にてアカウントプランナーを経験しているため、基礎的なWebマーケティングの知識はもちろん、LPOに関するナレッジなどを本日はご提供できればと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
弊社では、誰でも直感的に始められるサイト運営プラットフォーム「Ptengine(ピーティーエンジン)」を運営しています。
ページに一つのタグを設置するだけで、データを可視化し、更に蓄積してPDCAを回すことが可能です。
2010年頃のローンチから製品のバージョンアップを続け、現在は日本だけではなく、アメリカ・EUマーケットや中国など、180カ国以上の国に展開しています。
今回はLPO概論ということで、LPの重要性やLPをアップデートしていく中で意識すべき数値、ヒートマップツールの役割などを2日間に渡って解説させていただきます。
マーケティング全体像から理解するLPの役割
窪田氏:まず最初にLP・LPOについてお話ししていきます。
LPとは、ランディングページ(Landing Page)の略で検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのことです。
「集客」の中でも初めてのユーザーとのタッチポイントになります。
広告やSNSなどの様々なチャネルを通じてLPにユーザーを誘導し、LP上で「認知」、内容に納得した上で「合意」し、個人情報の取得、サービスやイベントの提供が始まり「体験」、そこから利用の「継続」が、認知からサービスを利用するまでの流れになります。
つまり、そのサービスやイベントの内容、メリットを納得した上で、個人情報を取得し、その対価を体験としてユーザーに届けるのが「LP」です。
窪田氏:こちらは実際のクライアントのLPです。
かなり長いLPになっています。美容や健康食品のLPは比較的に長いLPが多いですね。
長いですが、メリットが分かりやすく設計されているため、読みやすいページになっています。
窪田氏:一方で、こちらは英会話のLPです。先ほどと比べるとかなり短いですよね。
坂本:ボリュームや訴求メッセージ、デザインなど全然違いますね…!
窪田氏:おっしゃる通りですね。
サービスによってターゲットや説明すべき内容、単価が変わるため、伝えるべきメッセージや購入の過程もそれに伴い変動します。
そのため、サービスに合った手法でのLP制作が必要になるわけですね。
窪田氏:LPに続いて、LPOに関してご説明します。
LPOは「ランディングページの最適化」を意味しています。
つまり、LPOとは「投資効率を最大化するためにLPを改善をする活動」です。
最適化するということは、費用対効果を高めるということに繋がるため、非常に重要な活動になります。
窪田氏:では、この「費用対効果」を深ぼっていきましょう。
「費用対効果」を図る際に使用されるのが「ROI」という言葉です。
「ROI」は、パフォーマンスを図る最上位概念で、「いくら投資をして、どれくらい利益に影響したか」を測るものですね。
「ROI」を測る際、計測する数値は企業によって異なります。
デジタル広告以外の出稿額や、製作費、人件費など、「どれだけ投資をしたか」に入れる経費の定義は企業によって様々です。
窪田氏:では、この「ROI」を高めるための、マーケティング全体におけるLPの役割を改めて解説していきます。
上の資料をご覧ください。
こちらの図では、顧客のライフサイクルを簡単に図式化しております。
要点を説明しますと、
①市場という広い海に対して、潜在顧客がいる場所に狙いを定める。その上で、デジタル広告などコストをかけて「認知」を広げながら見込み顧客をLPに集客。
②顧客の購買に対する意識を「興味関心」から「比較検討」へ引き上げ、見込み顧客の顧客転換を促す。
③既存顧客のプールでは、「継続」的な関係性を保持しながら収益の健全性を向上する。同時に、ロイヤル顧客を増やし口コミなどを通じた更なる認知向上や購買を促進。
このように、コストをかけて潜在顧客をLPに集客し、LPを通じて顧客に転換、更に既存顧客になりビジネスが回り、収益化することでサービスがより良いものになっていく…。
坂本:LPを通じて、顧客が認知から検討、利用と循環していくわけですね。
窪田氏:そうですね!収益化するからこそ認知や利用が大きくなっていくということですね。
しかし、ここで着目したいのが「流出」があるという点です。
既存顧客に対しても、カスタマーサポートやサービス運営を向上して顧客満足度を高める活動をしたり、アップセル・クロスセルで継続的に利用してもらう仕組みを作ったりするなど、既存顧客の流出を防ぐ対策も同時に必要となります。
ビジネス全体を俯瞰して、収益の構造からビジネスのROIを考えることはマーケターとして心得ておきたいですね。
窪田氏:LPは圧倒的に集客や顧客転換しやすい「チャネル」です。「チャネル」は流入経路のことですね。
昨今では、ユーザーの生活において、「メディア」を閲覧する時間の割合が大きくなってなっています。
坂本:新型コロナウイルスによる外出自粛の影響により、家でネットを使いながらSNSや動画のサブスクリプションなどを見る時間は圧倒的に増えましたよね。あとはネットショッピングとか…!
窪田氏:おっしゃる通りですね。僕自身も動画のサブスクやネットショッピングを利用する回数は断然増えました。
このようにYouTubeをはじめとした、動画メディアや、SNSなどを閲覧すると、媒体同士の繋がりがあるため、何を見ても広告が出る状態です。
広告を通して、興味関心をはじめとした、性別や年齢、地域なども簡単に拾うことができるため、ターゲットにリーチし易い状態になっています。
そのため、LPに誘導した後の施策を強化することが顧客転換に繋がります。
数値で紐解くLPOの重要性
窪田氏:続いて2章目は「LPを取り巻く数値」について解説していきます。
下の資料をご覧ください。
窪田氏:まず、よく使用される指標についてです。
坂本:たくさん用語がありますね…!
窪田氏:そうですね。これは基本的なマーケティング用語なので既にマケキャン受講生の方は習得済みかと思いますが改めて解説していきます。
まず費用について。
「Net(ネット)」「Gross(グロス)」と表記があります。
一般的にGrossは「総額」の意味を持っています。また、Netは広告費そのものの「原価」です。
つまり、事業会社が代理店に運用を任せている場合、「Gross」から広告代理店に支払う手数料を差し引いた金額が「Net」ということになります。
広告代理店への運用フィーは、20〜30%の支払いが一般的です。
更に、外部チャネルに対して表示された回数を「Impression」、クリックされた回数を「Click」、更にページビュー数を「PV」、特定の期間内にWebサイトに訪問したユーザーの訪問回数を「セッション」、ページに訪問したユーザーの数を「UU数」、滞在時間などを指標に管理しています。
Webサイトであれば直帰率もですね。
ちなみにですが、一般的に普及している1枚LPですと直帰率の算出ができません。
理由は、1枚ページになりユーザーが遷移しないため、1ページ目と2ページ目の差分が計算できないからですね。
坂本:クライアントの案件を運用する中で、LPOの成果はどのように報告するのでしょうか?
窪田氏:そうですね、まず大前提なのですが、
広告配信ツールやGoogleAnalyticsなどの基本指標では取得できるデータが非常に少ないため、「Ptengine」のような外部ツールを入れることをお勧めします。
ツールを入れることで、より深いデータが取得できます。
坂本:ということはツールを使わないと単純な数値しか取れないけども、ツールを使えば評価できる数値や分析が深くなるということですね。
窪田氏:おっしゃる通りです。
Googleアナリティクスでも知識とエンジニアのスキルがあれば、細かくデータを取得することができるのですが、積み上げることしかできないため、レポートにしたりデータを蓄積していくと、重くなってしまいます。
一方で外部ツールを導入することで、視覚的に傾向や数値を測ることが可能になります。
また、マーケターが一人で運用される場合は、リソース削減ができるため、その面でも外部ツールがお勧めですね。
外部ツールの使い方や取得できるデータに関しては2日目のセミナーにてに解説させていただきます。
窪田氏:続いて「転換率」のお話です。
転換率とは、サイトへのアクセス数に対して、商品が購入される確率ですね。
転換率には、「クリック単価」やインターネット広告が1,000回表示されたときに必要となる広告費「CPC」、「CV単価」も影響してきます。
しかしLPOという観点では、それらの数値だけではデータが限られてしまい、仮説の精度が落ちてしまいます。
データが少ないとインパクトのある施策をとることができないため、ツールを利用してページ内の数値データを獲得する必要があります。
窪田氏:例えばECサイトの場合、販売価格とCPAが同一だと利益がなくなってしまいますよね。
しかし、その後何人かは継続購入する可能性があるため(LTV)、それを加味しながら利益率を算出する必要があります。
例えば、CVした50人のうち10%が2ヶ月後も同製品を購入した場合の計算式は、上記の図に記載の通りです。
CPAというのは下げれば下げるほど良いものではあるのですが、深くビジネスモデルを理解することが重要です。会社によって許容/限界CPAがあるので、適切な数字を置き双方が合意して進めていく必要があるということです。
ですので、よりIMPを多くしてCTR・CVRをあげるということが必要になります。
窪田氏:CPAを下げるためには、「より多くの見込みユーザーがいる場所でのImpを増やす」「最適なユーザーに適したクリエイティブを出す」「LPに訪問したユーザーに対して魅力的なオファーを出す」という3つのポイントが重要になってきます。
ここからは、より具体的なお話しをさせていただきます。今回のセミナーでは最後の章です。
LPO実践の為の注目すべき要点
窪田氏:まずは、「LPOに必要なリソース」をまとめています。
大きく「広告・サービス運用」「WEBデザインエンジニアリング」「ディレクション」の3つの分野に分けています。
誰がどこまで担当するのかは企業の規模や方針によって様々です。
この中から「運用」にフォーカスしてお話ししていきます。
窪田氏:まず、「ペルソナ」です。
「ペルソナ」とは「架空のユーザー像・人物モデル」という意味でマーケティング業界では使用されています。
顧客の理解を深める上で「ペルソナ」設定は非常に重要です。
対象を深くイメージすることが非常に大切で、歳や性別、業界、職種、居住地、家族構成、スマホをどのように使用しているかなど、対象となる人物の生活について細かく言語化していく。
そうすることで、どういったコピーやデザインが良いのかなど、成果をあげるための根拠が言語化しやすくなります。
坂本:ペルソナ設定は、スタート時点で非常に重要な内容ですよね。
窪田氏:続いて「カスタマージャーニー」です。
「カスタマージャーニー」とは、ペルソナの行動や思考、感情を時系列で見える化したものですね。
ペルソナの動きを見える化することで、顧客とのタッチポイントが分かり、適切な場所・タイミングで適切な情報を伝えることができるようになります。
ユーザーが関心を持つポイントから興味を失うポイントなど、ステップごとにユーザーがどのような感情になり、そこからどのような行動に至るなど、細かく言語化することが重要ですね。
坂本:ユーザーが興味を持ったポイントから購入するまでの行動心理を言語化していくということですね。
窪田氏:そうです。
これをすることによって、LPでどのようなメッセージがあれば、「ユーザーがどのような態度変容を起こし、収益に繋がるのか」が見えてくるので、LPを強化する上で非常に重要な情報になります。
企画の整理のためには常に準備しておいた方が良いですね。
窪田氏:更に、実際に顧客へのインタビューすることも効果的です。
商品を使ってみての感想や、期待通りの効果はあったのか、LPの内容からのギャップなどを実際にヒアリングできると更に良いですね。
インタビューをすることによって事業者側が気がついていない価値やネガティブポイントをキャッチできる可能性があります。
例えば「思ったよりも高級感があってプレゼントにしてみようと思った」などの意見からは、「高級感」「プレゼント」というワードを訴求軸として追加してみたり、配送の梱包イメージを追加掲載してみたりすることで「CVRをあげられそうだ」という仮説を立てることができます。
つまり、事業者側が気がついていない顧客側が感じていることをキャッチして、それを埋めていくことが非常に重要ということですね。
窪田氏:訴求が確定したら、このように訴求軸やターゲット、クリエイティブという1つのストーリーを、ワイヤーフレームに落としていきます。
基本的にLPには、ファーストビューがあって、その中に行動喚起するためのCTAがいくつか存在しています。
その中で、共感を与えるパート、悩みに刺さるようなパート、信用性を表すパート、権威性を表すパート、製品の利用が想像できるようなパート、比較して選択しやすくするパート、不安を解消するパートなど、顧客の検討時の様々な感情に合わせたパートを作り、ストーリー性あるビューにすることがポイントになってきます。
窪田氏:冒頭でご紹介したLPでは、内容が分かりやすいコピーから始まり、「第1位」という「権威性」、芸能人も利用しているという「信頼性」など、先ほどご説明したストーリー性あるワイヤーフレームのような構成になっています。
坂本:必ず伝えたいメッセージによってコンテンツ制作や位置設置をしているということですね。
窪田氏:おっしゃる通りです。
このように、ペルソナ、カスタマージャーニーを通してユーザーの態度変容を言語化し、それをふまえて訴求軸を設定しワイヤーフレームに落とすことで、ストーリー性あるLPが完成します。
窪田氏:LPが完成した後は、データ取得設計についての解説です。
先ほどもお伝えした「どこがボトルネックになっているのか」がよく分かるようなファネル式で考えることが有効です。
しかし、特に外部ツールを使用しない場合、上の図のようにLP上、どのパートでどのくらいの割合が離脱しているのかを把握できないため、綿密な仮説を立てることができなのが実態です。
窪田氏:そのため、ここで有効なのがヒートマップツールです。
Ptengineが提供しているヒートマップは、ユーザーがどのブロックで離脱しているのかや、どのコンテンツをどのくらいの時間見ているか、そのくらいスクロールしているかなどを数値ベースで見ることができます。
なので、仮説を持ち、訴求軸を考えながらデータを見ることができ、改善のサイクルを回していくことで、CVRをより上げるための仮説を立てることができます。
最後に
窪田氏:今回はLPの重要性やLPをアップデートしていく中で意識すべき数値、ヒートマップツールの役割について解説しました。
LPOでヒートマップツールは非常に有効なツールです。
次回は、実際にヒートマップツールを使いながら具体的な使用方法や着目すべき箇所などを解説していきます。
是非楽しみにしていてください!
坂本:窪田様、ありがとうございました!