【イベントレポート】アドビ×マケキャン 顧客育成の観点でマーケティングを考える。MAの活用法を事例と共に大公開!-Webマーケターのキャリアパスも解説-

全世界で5000社以上に導入されているマーケティングオートメーション「Adobe Marketо Engage」を販売するアドビ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:神谷 知信、以下 アドビ)と協業し、2022年2月15日(火)に「顧客育成の観点でマーケティングを考える!MAの活用法を事例と共に大公開。-Webマーケターのキャリアパスも解説-」をテーマにオンラインセミナーを開催いたしました。

この記事では、本セミナーの内容をご紹介いたします。

セミナー概要

開催日時:2022年2月15日(火)20:00〜21:30
テーマ:「顧客育成の観点でマーケティングを考える!MAの活用法を事例と共に大公開。-Webマーケターのキャリアパスも解説-」

登壇者:アドビ株式会社 DXマーケティング部 マーケティングマネージャー 松井真理子 氏
進行:マケキャン byDMM.com 会田

目次

  1. マーケティングオートメーションとは?
  2. マーケティングオートメーションは誰のものか?
  3. エンゲージメントとは?
  4. どうやってエンゲージメントするのか?
  5. メールコミュニケーション設計とは?
  6. 最後に

セミナー内容

登壇者紹介

会田:それでは松井様、本日は宜しくお願いいたします。

松井氏:宜しくお願いいたします。

簡単に自己紹介させていただければと思います。

アドビ社にてAdobe Marketo Engageのデマンドジェネレーションからカスタマーマーケティング全般を担当しております。

私は今まで20年ほどB2Bマーケターをしてきておりますが、マーケティングオートメーション(以下、MA)※1というものに初めて携わったのが2013年頃になります。日本に海外のMAが入ってきたのが、ちょうど2014年頃になるのですが、グローバル企業に身を置いていたこともあり、日本においてMAが一般的になる少し前から、ユーザーとして使っておりました。

現在はアドビの一社員としてMAを広めていく立場ではありますが、一人のユーザーとしても長くMAを利用してきた経験を活かし、より多くのB2Bマーケターを産むことで世界に負けないマーケティングができる日本企業を多く輩出していきたいと思っておりますので、本日は宜しくお願いいたします。

※1:Marketing Automationの略。収益向上を目的としてマーケティング活動を自動化・高度化するツール

アドビとは

松井氏:アドビという製品についても簡単にご紹介できればと思います。

アドビは、左から「Creative Cloud」「Document Cloud」「Experience Cloud」という3つのクラウド製品を揃えています。
Experience Cloudは、企業のマーケティングやIT担当の方向けにDX推進ソリューションを提供しているサービスで、本日はその中でもAdobe Marketo Engage(以下、Marketo Engage)というMAのお話をさせていただきたいと思います。

Marketo Engageは「顧客体験を通してレベニュープロセスを加速する」というミッションを追求しています。

マーケティングの目的として、顧客に良い購買体験を届けるということももちろんそうなのですが、もう一方で、その企業の売上にどれくらい貢献できたかということも非常に大切な指標です。Marketo Engageはそういう思想の元設計された製品であり、企業の売上向上の見える化などを通じてレベニュープロセスの加速に伴走しています。

マーケティングオートメーションとは?

松井氏:改めてMAとは何か、について考えていきたいのですが、私たちは「あらゆる段階で顧客との良好な関係を維持」することと定義しています。

顧客はモノを購入する際、「認知→興味→サーチ→検討→購入→共有→ファン化→再購入」という購買プロセスを辿っていきます。英語では、buyer journey(バイヤージャーニー)と言ったりもしますね。

マーケティングでは、この購買プロセスに沿ってその段階ごとに顧客が求める情報を最適なチャネル / タイミングで提供することが求められます。

例えば、まだ自社の製品を何も知らない「認知」手前の顧客に対していきなり「買ってください!」と購入段階のご案内をしても全く動いてもらえません。

常に現状のお客様の状態を考えて、どのようなご案内をどのようなチャネルを使って設計すべきか?を効果的に提案できるのがMarketo Engageなのです。

マーケティングオートメーションは誰のものか?

松井氏:さて、ここで皆さんに質問です。MAとは一体誰が使うものだと思いますか?

答えは、マーケティング・営業 / インサイドセールス・カスタマーサクセス・IT / 人事/経営企画・経営層など非常に幅広い部門で横断して使うものになります。

よく、MAはマーケティング担当だけが使うものと認識されている方も多いのですが、実はそうではありません。
なぜなら顧客にサービスを提供する際に、マーケティング部門だけで完結することはあり得ないからです。

もちろんMAを実際に操作したり管理するのは主にマーケターになるのですが、その先の営業やサポートではMAをSFA※2と接続させ営業/インサイドセールス・カスタマーサクセスが関わったり、経営層はマーケティング施策において売上がどの程度上がったのか?を把握しておく必要があります。

では実際、顧客はどのようにして自社サービスの購入に至るのか?

アドビにて実施した調査によると、店頭で気になる商品があった際にWebで検索する人の割合は2016年時点で60%に昇ります。また、Web調査時点で期待に答えなかった場合、購買行動を中断する割合は62%となっています。

皆さんも体感値があると思いますが、何か気になる商品があった際にまずはWebで検索しませんか?

詳細なスペックを調べたくて検索したのに、該当情報が見つけづらい場合はサイトを離脱してしまったり、最終的な購買には至らないケースは体験したことがあるのではないでしょうか。

それと同様に、B2B購買担当者もオンラインチャネルを重視する傾向が年々加速しています。

B2B顧客も同様に、消費者と同じように行動しており、オンライン検索から購買活動を始める割合は92%デジタル上での情報収集を好む割合は68%となりました。

2020年以降の新型コロナウィルス(以下、コロナ)感染拡大に伴うデジタルシフトの波は、この利便性に対するトレンドをさらに加速させているのです。

10年ほど前のバイヤージャーニーでは、顧客が商品やサービスを認知し資料請求をすると、営業担当が資料をお持ちしてその後の情報提供は営業担当から直接行われることが一般的でした。

しかし現在では、検討フェーズに入るまでに顧客自らがWeb上で調査・評価を行っているケースが大半であり、この段階で情報を求めている顧客にどれだけ信頼性の高い情報提供ができるか?が勝負となってくるのです。

とある調査によると、B2B顧客の51%の決裁者は営業担当者とは直接接触せずに意思決定しているという結果がでています。また70%の購買担当者は導入要件を事前に固めた段階で営業に接触してくることが分かっています。

特に最近では、スマホ利用やテレワークなど、デジタル化が進んでいることもあり、71%もの企業がサービスのオンラインの利便性向上を目的にツールの乗り換えを検討されているため、既存顧客であったとしてもマーケティング施策で接点を持っておく重要性は高まっています。

このように、少し前まではマーケティングと営業は分業して、マーケティングは資料請求数を、営業はその後の受注数をそれぞれKPIとして追っておけば何となく回っていたことが、現在ではそれが通用しなくなってきています。
マーケティング・営業がそれぞれ個別最適化を行うのではなく、それぞれが密に情報連携を行い一体となって施策を進めていく必要があるのです。

気付いた頃には既に時遅しで顧客の検討フェーズは終わり、成約を取れなかったということにならないために、マーケティングはコンテンツの量や頻度を最適に調整し、様々なチャネルで送られる情報を一貫性のあるものにする必要があります。
併せて、マーケティングの成果を高めるため定期的に効果測定して、成果の出ている施策により注力していく必要があるでしょう。

とはいえ顧客のニーズは様々で利用チャネルも年々多様化する中、いかにして顧客に最適な働きかけを行っていくのか?
ここで重要になってくるのが「顧客とのエンゲージメント」です。

※2:Sales Force Automationの略。企業の営業活動における情報全般をデータ化して蓄積し、分析することができる営業支援システムのこと

エンゲージメントとは?

松井氏:エンゲージメントという英語を直訳すると、「関与」や「従事」という言葉になりますが、マーケティングの世界では「顧客とのつながり」を意味します。

デジタルマーケティングの世界では、よく顧客の育成とかナーチャリングという言葉も聞くようになりましたが、デジタルで顧客の購買行動を完全にコントロールすることは不可能だと考えます。
ですが、見込み顧客に対して適切な情報を提供し続けることにより、エンゲージメントを強化することは可能です。

例えば「ここから来る情報はいつも役に立つな」や「ここの情報は信頼できそうだ」など、受け取り側が意識していなくても顧客の心の中に“何となく”いつもいる存在になっておくのです。

そうすることで、いざ検討しなくてはならない時がきた際に「確かあの会社は類似するサービスを展開していたな、連絡してみよう」と顧客の中で想起してもらえるようになります。
そんな機会をどれくらい増やせるか?という観点で、エンゲージメントを高めておくことは非常に重要です。

どうやってエンゲージメントするのか?

松井氏:それでは、どうやって顧客とのエンゲージメントを高めていくのか?

以下Adobe社インサイドセールス担当佐藤さんと大手製造機器メーカーでマーケティングを担当する山本さんのケースを例に取り、説明していきたいと思います。

山本さんは、過去に外部カンファレンスのアドビセッションというイベントに登録してくれましたが、当日の出席はなく、その後の繋がりも特段なく、過去にアドビ製品の購入もありません。

企業規模も大きく何とかして受注に繋げたい佐藤さんは、3ヶ月前に山本さんに電話を入れ状況確認をしようと試みましたが、多忙で詳細なヒアリングはできずに終わってしまいました。

ここまではMAやSFAに登録されている表面的な情報ですが、実は当時の山本さんの状況として、経営層からマーケティングの収益貢献を可視化し効果を示すことができなければ来期予算が下りないと言われており、非常に困っているという現状がありました。

そして、山本さんは「そういえば」とアドビから定期的に送られてきていたメールを思い出します。
メールボックスを検索してみましたが、大量のメールに埋もれてしまいすぐには情報を探し出すことができませんでした。

仕方なく、Webで「デジタルマーケティング」と検索をかけ、情報収集を開始します。
すると、デジタルマーケティング関連のウェビナー案内や資料が豊富に用意されており、片っ端から関連しそうな資料を取り急ぎダウンロードをしていきます。

またウェビナーにも参加登録をしてみたところ、登録直後に登録完了メールが届きます。

するとウェビナーに参加表明をしてくれた山本さんの動きに気付いた担当の佐藤さんは、参加への御礼と関連しそうな資料をメールで送付します。
先日までの定期的に届いていたメルマガに添付されている資料には全く気付くことのなかった山本さんですが、このメールの資料には興味を持ちダウンロードまでしてくれました。

そしてウェビナーに参加後、すかさず担当の佐藤さんより、ウェビナー参加の御礼メールが届きます。そのメールには製造業の導入事例集が添付されており、社内にも資料を共有するようになります。

そうしている間に、いつしかアドビ社から定期的に届くメルマガにも気づくようになり、「最新トレンドをチェックしておかねば」と資料をダウンロードするようになります。

ここで佐藤さんから、電話が入ります。
「お、ちょうど佐藤さんから電話だ。ちょうど良いので色々と聞いてしまおう」と具体的なアポイントに繋がっていきます。

こういった一連の流れが、まさに顧客のエンゲージメントが高まっていく状態と言えます。

今回山本さんが体験したプロセスですが、実は佐藤さんからの電話以外の一連の動きは全てMAで自動化しています。

山本さんが資料をダウンロードする度に、MA上で自動的に佐藤さんへアラートが飛ぶように設定されており、佐藤さんは山本さんの全てのオンライン行動をその時点でチェックし適切なタイミングで電話ができていました。

また、ウェビナーに参加登録した際に送られた完了メールやリマインドメール、試聴後の御礼メール等も、佐藤さんから送られてきているように見せかけて実は全てMAから自動で送信されるように設定してありました。

このようにMAを上手く活用することで、顧客に対して最適なタイミングで最適なコンテンツを届けるためのシナリオを予め設計し自動化することができ、エンゲージメントを高め購買機会を最大化していくことができます。

メールコミュニケーション設計とは?

松井氏:後半では、顧客とのエンゲージメントを高める中で比較的分かりやすいメールコミュニケーションの設計について皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

皆さん昨今、ウェビナー等に参加をして情報収集をされることも増えてきたのではないかと思いますが、新規で獲得するリード※3の大半が興味関心層であり、アドビの例でも84%の顧客が「今すぐ」の検討でないことが分かっています。

ですので、顧客と定期的にタッチポイントを作り続け、継続的な関係性構築が重要となります。

一口にメールコミュニケーションと言っても、ただ一方的に伝えたいことを送るだけでは顧客との関係性は構築できません。
誰に・いつ・どんな内容を届ければ、理解促進に繋がるか?態度変容を起こすことができるのか?など検討すべき項目は多数あります。

目指すべきは「エンゲージメントの総量を上げること」です。
メールコミュニケーションでは、顧客のクリック数=エンゲージメントの量と考え、小さい接点の中でいかに興味を引きメールを開いてもらえるか?がとても重要になります。

 

では、そのような効果的なメールをどう考えていくのか?

メールプログラムは以下のように、縦軸を「スポット↔︎定期的」、横軸に「全体↔︎セグメント※4」とし4象限に分けて考えると網羅的に検討するができます。

何となくイメージが付くかと思いますが、全体に対して定期的に送るメール(左下)と、特定のセグメントに対してスポットで送るメール(右上)は目的やコンテンツが異なってきそうですよね。

これはあくまで一例ですが、例えば以下のように事例とセットで見てもらうと分かりやすいと思います。

・「定期的に全体に送る」…顧客に毎月定期的に送るメルマガやニュースレターなど
・「スポットで全体に送る」…大型の年次イベントのご案内など
・「スポットである対象に送る」…業種別や職種別などターゲットを絞って開催するイベント案内や、特定のセグメントの掘り起こしのためキャンペーン案内など
・「定期的にある対象に送る」…業界別などとあるセグメントに特化した資料や事例のご案内など

このように、マーケターはメールコミュニケーションに関わらず、「誰に・何を・どんなタイミングで」届けるのかという考え方が非常に重要となります。

加えて重要となるのは、送るコンテンツが消費型なのか?資産型なのか?という考え方です。

Marketo Engageでは、右下の象限以外は全て消費型のコンテンツと呼んでいます。

この象限には、一般的に定期的なメルマガやイベント案内が含まれるケースが多いですが、そのコンテンツの多くがその時のトレンドや時流を意識して作成されていたりします。またイベントも一度きりの開催のものが多く、基本的には使い回しができません。

一方資産型は、一度作成してしまえばそのコンテンツを資産として置いておき、MAにセットしておくことができます。
そして、該当セグメントの顧客の新規リードが入ってきた時には、自動でそのコンテンツを当てられるようにしておく、ということが大切です。

なぜ資産型のコンテンツが重要となるのか?

それは、消費型のコンテンツばかりでは常に新たなコンテンツを量産し続けなくてはならず、マーケターが疲弊するからです。

資産となるようなコンテンツを多く持っておくことで、できる限りの自動化を行い、空いた時間で「そもそものマーケ戦略をどうすべきか?」や「顧客への打ち出し方は適切か?」などより本質的なことを検討することができるようになるのです。

※3:マーケティング用語で「見込み客」のこと
※4:集団やまとまりを区切った区分のこと。特にビジネスにおいては、ターゲットなどを何らかの指標に基づいて区切ったまとまりを指す

最後に

松井氏:皆さん、長丁場にお付き合いいただきありがとうございます。

色々とお話をしてきましたが、本日持ち帰っていただきたい最重要メッセージは「MAはマーケターが利用するものだが、組織 /企業全体のものである」ということです。

顧客の購買プロセスがDX時代において変化し続ける中、マーケティングと営業組織が一体となる必要性をお話しましたが、まずはMA導入後しっかり営業組織との対話ができるかどうか?はとても大切です。
さらには、カスタマーサクセスやエンジニアなど各方面を巻き込みながら、資産型としてストックできるような優良コンテンツを作っていけるか?など、是非マーケティングだけに閉じずに思考し続けてほしいです。

MAを正しく扱える、ということももちろん大切ですが、自動化のメリットを余すところなく享受いただきながら、戦略・戦術を考えられるマーケターがやはり強いと思います。

マーケティングには正解がない。だからこそ面白く、そして迷うことも多くあるかと思います。

Marketo Engageでは、そんなB2Bマーケターを支援すべく日々あらゆる施策を行なっています。今後、皆さまともどこかで接点を持つ機会があれば大変嬉しく思います。

会田:松井様、本日は本当にありがとうございました。