【イベントレポート】リチカ×マケキャン-デジタル広告の未来を拓くクリエイティブ戦略-

クリエイティブ、マーケティング、テクノロジーの各専門家で構成されたコンサルティングチーム「リチカ クリエイティブファーム」を運営する株式会社リチカと協業し、2021年10月12日(火)にマケキャンbyDMM.comの受講生・卒業生を対象に「デジタル広告の未来を拓くクリエイティブ戦略」をテーマとした特別セミナーを共同開催いたしました。

この記事では、セミナーの内容をご紹介いたします。

セミナー概要

開催日程:2021年10月12日(火)
テーマ:「デジタル広告の未来を拓くクリエイティブ戦略」

登壇者:株式会社リチカ CMO  田岡凌 氏
進行:坂本

セミナー内容

リチカとは?


坂本:では、本日は田岡様、宜しくお願いいたします。

田岡氏:宜しくお願いいたします。では、まずは私の自己紹介をさせてください。
私は大学卒業後、ネスレ日本株式会社へ入社し、その後、WeWork Japanでブランドマーケティング責任者として、マーケティング戦略の立案から実行までを担当していました。そして、2021年3月、株式会社リチカへCMOとしてジョインしています。
本日は、to B to Cに関わらず、本日の内容に関わらないことでもお気軽にご質問ください。


田岡氏:次に、リチカ(以下、当社)のご紹介です。
当社は、「Switch to The Rich. 想いが届く、で世界を豊かに。 」をミッションに「クリエイティブとテクノロジーで情報をリッチ化し、思いを届けるお手伝いをする会社」と自らを定義しています。

また、具体的には運用型クリエイティブクラウドサービス「リチカ クラウドスタジオ」を提供しています。
誰でもプロクオリティで成果の出る動画を作ることができるサービスです。

昨今、似たサービスはいくつかあるのですが、我々はクリエイティブテック企業であるということ、また、広告マーケティングに特化している点を強みとしています。
現在、大手中心に400社以上に導入いただき、業界ではシェアNO.1を受賞しています。

また、ユーザー企業からは、動画に加えてマーケティングに関するご相談をされることが多く、クリエイティブ、マーケティング、テクノロジーの各専門家で構成されたコンサルティングチーム「リチカ クリエイティブファーム」の運営や、次世代のマーケティングトランスフォーメーションを分析・発信する研究機関「RC総研」などを運営しています。

 

 

クリエイティブの重要性


田岡氏:本日の講義は、「デジタル広告の未来を拓くクリエイティブ戦略」をテーマに、クリエイティブ※1の重要性や、取り巻く環境についてお話しできればと思っています。

早速ですが、みなさんに質問です。
デジタル広告で成果をあげるのに最も差がつく要素とはなんでしょうか?

A:ブランド※2
B:ターゲティング※3
C:クリエイティブ
D:リーチ※4

さまざまな要素がありますがいかがでしょうか?
では、(受講生1)さんいかがでしょうか?

受講生1:差がつくのは、Cのクリエイティブだと思いました。
ターゲティングですと、他社と被る可能性が高いことや、ブランドも真似して追うことができる。
リーチに関しては知識が浅かったため、消去法でCにしました。

田岡氏:ありがとうございます。(受講生2さんはいかがでしょうか?

受講生2:クリエイティブでしょうか?
他の選択肢と比べると、個性が出しやすいように感じました。
だからこそ、1番差がつきやすいのではないでしょうか?

田岡氏:ありがとうございます。
答えはCの「クリエイティブ」です!

※1:広告やフライヤーなどの制作物
※2:サービスを、他の同カテゴリーのサービスと区別するためのあらゆる概念
※3:市場の細分化を行った後、その市場に対してターゲットを絞ってマーケティングを展開すること
※4:広告の到達度

田岡氏:デジタル広告で成果に影響する要素はいくつかあるのですが、ある調査会社からのデータによると、デジタル広告の購買貢献率は、クリエイティブが47%を占めるという結果が出ています。
思ったより大きいですよね…。

このデータももちろんなのですが、昨今、デジタル広告でクリエイティブの重要性はさらに注目されています
私も、お客様とも会話する中で日々実感していますね。


田岡氏:ここで2つ目の質問です。なぜ、デジタル広告でクリエイティブの重要性がさらに注目されているのでしょうか?

A:従来型のターゲティングが困難になっているから
B:サードパーティクッキー※5の利用制限のため
C:コロナ禍で生活者のニーズが複雑化したから
D:新しいメディアが台頭し、多様化したから

では、(受講生3)さんいかがでしょうか?
受講生3:A・C・Dでしょうか。
Bが違うのは、この制限かかったことは直接的な要因にはならないと感じたからです。

田岡氏:ありがとうございます。非常に良いですね。

(受講生4)さんいかがですか?
受講生4:私もA・C・Dですね。
Cは、コロナ禍で家で過ごすことでネットに向き合う時間が増えました。それに伴ってクリエイティブを見る機会も増えたため、これは確実だと思いました。
あとは、YouTubeはもちろん、TikTokなどの新しいメディアは日々増えているため、Dも理由かと思います。

田岡氏:なるほど、そろそろ答えをお話ししますと、答えは「全て」です。

※5:Webサイトに訪れたユーザーの情報を、一時的に保存しておくための仕組み(クッキー)の中でも、訪問しているWebサイトとは異なるドメインから発行されるクッキーのこと

 

田岡氏:今、デジタル広告を取り巻く環境の変化は、大きく2つあると考えています。

1つ目は「顧客や顧客接点の多様化」です。
皆さんもコロナ禍で生活様式が今までになく急速に変わったと感じているのではないでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークをメインにする企業が増えたり、外食やショッピングなども控え、家での食事やネットショッピングを活用する機会が増えたり….。
このように、ライフスタイルが多様化したことで、ユーザーと企業との接点が変化しました。

2つ目は、新しいメディアが台頭したことです。

例えば、「コネクテッドTV」
今までYouTubeなど、スマホやPCで個人で見ることが多かったですが、テレビに繋げて、家族や友人など、複数人で見ることも多くなりました。
視聴態度が変化したということですね。

また、「クラブハウス」などの音声メディアも注目され始めています。

つまり、「いつ、誰に、どのように届ける」ということに最適化したクリエイティブが必要になっています。

また、先ほどサードパーティクッキーはあまり直接的には関係ないんじゃいかなというお話がありましたが、プライバシーの保護の観点から、スマホアプリのトラッキング※6の透明性の波は非常に影響が出ています。
今までのようにCV※7は見込めていないのが実態です。

代替の技術も開発されていますが、実装されている目処は立っておらず、従来のターゲティングがワークしない可能性は非常に高いです。
そのため、それに代わる手段が求められています。

冒頭にクリエイティブの購買貢献率が47%とお伝えしましたが、このように、他の部分の要素が弱まっているため、今後クリエイティブの貢献度はさらに高まる可能性があるということです。

ではクリエイティブを制作する際に、どのように取り組めば良いのか。
ここからは、それらについてのヒントをお話しさせてください。

※6:ウェブサイトやアプリ上で、ユーザーの行動を追跡する行為のこと
※7:Webサイトで獲得できる成果

 

 

クリエイティブターゲティングとは?


田岡氏:一般論では無いのですが、私がクリエティブを専門に支援する中で、大事に感じていることが3つあります。

1つ目は、「クリエイティブターゲティング」、2つ目が「クリエイティブ高速PDCA」、最後に「動画クリエイティブの活用」です。

「クリエイティブターゲティング」は、我々が発信し始めているワードになるのですが、従来より細かいペルソナごとに最適化したクリエイティブを量産する」ということを意味しています。

今までですと、セグメントごとに強く印象に残るクリエイティブをリサーチしながら磨き上げて制作することが多かったのですが、そのセグメント内にも色々なペルソナ※8が存在します。
ですので、セグメントに一歩深く踏み込んで、ペルソナに伴ったクリエイティブを作っていくことを我々は重要視しています。

※8:ユーザーを表すために作成された仮想的な人物像のこと

田岡氏:では、3つ目の質問です。
Facebookのクリエイティブで成果が良かった(CPA※9が安かったもの)がこの中に2つあります。どれでしょうか?

A:動画広告ならリチカ
B:まだ動画広告外注してる?
C:広告代理店の必須ツールとは?
D:5G時代の動画広告なら

(受講生5)さんいかがですか?

受講生5:BとDだと思いました。
理由は、Aはリチカの主張であること、Cは広告代理店にしかターゲティングができないからです。

田岡氏:答えはB・Cです。

Aはただ単にお客さんのことではなく、「我々が誰か」を明かしているだけ。
Dも同じです。5Gってキャッチーなワードに感じるんですが、実際、頻繁に5Gというワードを聞くかと考えると、そこまでまだニーズは高まっていないんですよね。

Bは、「インハウス化したい」というニッチだけどクリアなニーズを捉えている。
Cは単純で、広告代理店というワードを入れることで広告代理店の方が反応しやすいんですね。
先ほど(受講生5)さんがCだと広告代理店にしかターゲティングができないとおっしゃっていましたが、これはあえて広告代理店にフォーカスして、ターゲティングしているクリエイティブです。

もちろん、デジタル広告で何が当たるかを、配信前に明確にすることは難しいです。
しかし、PDCAを回す中では「クリエイティブでターゲティングができているか」ということが重要になってきます。

※9:コンバージョン1件あたりの成果単価

 

田岡氏:今までのクリエイティブは、メディアでターゲットを絞って渾身のクリエイティブを当てるということが大事でした。
仮説やリサーチベースで作成し試すことや、多くの人に伝わるメッセージをいくつか試すということがスタンダードでしたね。

一方でクリエイティブターゲティングは、ターゲットやペルソナの数だけクリエイティブを量産して、結果的にターゲティングできるメッセージを量産しています。
100人に刺さるクリエイティブを1本作っていたのが、1人にしか伝わらないけど刺さりきるクリエイティブを20本作るということですね。

ですので、一人一人のペルソナに訴求を作るため、今までよりも深いユーザーの理解が必要になってきます。
お客さんとは誰なのか、どんな困りごとがあるか、こういったことの理解は今まで以上に重要だと感じています。

例えば、広告代理店で簡単に動画を制作する方法を探しているという方、事業会社で制作内製化を目指している方、成果が出ずに悩んでいる運用者の方など、「具体的に」ペルソナの悩みを考えるのが大事になってきます。

田岡氏:デジタル広告のクリエイティブは、運用、改善して初めて成果が最大化する広告です。
ですので、正しく改善して運用検証を回していくことや、成果が出るクリエイティブをいかに早く見つけられるかが重要です。

またこれは広告の成果を最大化するのみならず、商品やサービスの価値を一番伝えられるクリエイティブを発見できた際は、LPや他のサービスコピーを作るヒントにもなるので、デジタル広告を回す中で検証することは事業全体にとっても重要ですね。

今まではアプローチ方法として、「複数の訴求を検証する」が一般的でした。
しかし、これから求められるのは静止画や動画をいろんなペルソナに最適化してアジャイルに回していくということが求められてくる。
なので、一個一個のテストを「点」で捉えるのではなく「面」で捉え、それを回す発想が必要が重要だと思っています。

最後のお話です。
我々は動画クリエイティブの活用が今後非常に重要になると考えています。

「動画と静止画どっちが成果出るんですか?」という質問をよくいただくんですが、我々は、静止画を動画にするのではなく、「静止画、動画どちらも」配信するのが必要であると感じています。

 

 

「静止画 or 動画」ではなく、「静止画 + 動画」が必要

田岡氏:最後の質問です。静止画と動画の両方にインプレッションした場合、その反応ユーザーはどの程度被っているでしょうか?

A:0〜20%
B:20〜60%
C:60〜80%
D:80〜99%

(受講生6)さんいかがでしょうか?

受講生6:0〜20%だと思いました!
僕は動画広告をあまり見ないです…。静止画がたくさんある中で、動画は差別化ができる一方で、見ない人は見ないかなと思っています。

田岡氏:ありがとうございます。勘が良いですね!
答えは0〜20%
です。

 


田岡氏:当社は、ヤフー株式会社様と共同研究しています。
その研究の中で、あらゆる業種の動画と静止画の両方に反応するユーザー数を調べたところ、重複率は3.7%
という結果になりました。

つまり動画と静止画に反応するユーザーはそれぞれ異なるということですね。
ユーザーの構成としては、静止画は「顕在ユーザー」「少ない情報でも反応してくれる人」、動画は情報量が多いので、「どう言うサービスかを理解してからCV※9するユーザー」と考えられています。

あとはそもそも画像に反応しやすい人、動画に反応しやすい人がいるということも考えられますよね。
色々な理由があげられますが、「反応するユーザーが違う」ということは明確です。

田岡氏:このように、「静止画 or 動画」ということではなく、「静止画+動画」が必要であるということが分かります。

静止画しか配信しない場合は、動画に反応するユーザーに情報を届けられない、また動画しか配信しない場合は、静止画に反応するユーザーを取りこぼしている可能性がある。
つまり、どちらも両配信していくことが大事です。

「クリエイティブの最適化 × 量産」が求められるということですね。

ではこれにどうやって対応すれば良いのか。
動画クリエイティブの活用についてお話ししていきます。

 

 

伝わるクリエイティブには型がある。動画クリエイティブの活用法


田岡氏:当社が運営している「リチカ クラウドスタジオ」は、1,600以上のフォーマットを所有しており、用途に合わせて選ぶことができます。

フォーマットにテキストや素材をはめていただくだけで、プロクオリティの動画クリエイティブを作成することが可能です。
静止画の一部が動くような動画バナーや、カルーセル静止画など、幅広く対応ができます。

また、これらの監修を大手CM制作を手がけた人材や動画制作会社にいた人材などで構成されているクリエイティブチームが行なっていることや、公式パートナーであるYahoo!やFacebookからいただいている分析データをもとに作成しているため、非常に専門性高い動画作成ツールになっています。

ですので、先ほど申し上げたクリエイティブターゲティングや、高速改善、動画クリエイティブの活用など、リチカであればブランド水準で量産が可能ということですね。

田岡氏:では最後にどのようにクリエイティブを作れば良いか、をお話していきます。

田岡氏:まず大前提、伝わるクリエイティブには型があります。
動画のクリエイティブで言うと大きく「キャッチ」・「ボディ」・「エンド」と言う3つのパートに別れています。

 

 

 

SNS含めて情報が多い中、まず見てもらうためは「キャッチ」が重要です。
まず、クリエイティブを制作するにあたっての定義を考えていきます。
「誰に、何をしてもらうためのものか」ですね。

次に「キャッチ」を整理していきます。
「誰に」
向けて配信するのか、です。

次に「メイン」
具体的に「我々は何を提供できるのか」を考えていきます。
提供物を利用することで、どのような変化をもたらすのか他の商品では実現できないことは何かなどの「ベネフィット」
をボディに入れていきます。

最後に具体的な行動を促す「エンド」です。

先ほど、質問で3使用した、「リチカ」の訴求に当てはめると、上の図ようなキャッチ・ボディ・エンドとなります。
思ったよりシンプルだなと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれのシーンを約2秒程でぼーっと見てることを考えると、この文字量が限度と考えています。
また、テレビCMは音声ありで見る一方で、Facebook広告が音声なしで見ることが多いため、コピーを分かりやすく端的にメインで伝えています。

このように、同じ型で、訴求フレーズや、ベネフィットなどを入れ替えながらテストをしていくと非常に改善点はクリアになるため、リチカはフォーマット形式にしているというわけです。

田岡氏:最後本日のまとめに入ります。是非この大事な4つを覚えて帰ってください。

デジタル広告でクリエイティブが最も重要であるということ。
クリエイティブの「最適化 × 量産」が鍵になること。
伝わるクリエイティブには「型」がること。
そのために「リチカ クラウドスタジオ」のようなクリエイティブテックの活用がおすすめであること。

以上です。
受講生の方はすぐに活用することは難しいかもしれないですが、クリエイティブの重要性や、「型」を意識しながら、伝わる訴求を考えてみたらいかがでしょうか?
本日はありがとうございました!

坂本:田岡様、ありがとうございました!