【動画あり】ウェブライダー松尾氏が見据える新SEO時代

タイトル

ウェブライダーのコンテンツ事業計画書 2020【株式会社ウェブライダー 代表取締役 松尾茂起氏】

オープニング

【FREE WEB HOPE代表取締役社長 相原祐樹氏】

本日のゲストは株式会社ウェブライダーの松尾茂起さんです。

※イベント風景※

(以下は松尾氏のプレゼン内容を記載しています。)

 

はじめに

【株式会社ウェブライダー 代表取締役 松尾茂起氏】

実はウェブライダーという会社は今年で10周年になります。

私自身は、『沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』という書籍を書かせていただいております。

今日お話しするのは、ウェブライダーが2020年のコンテンツ制作で大切にしていくことです。

会社紹介

お話の前に弊社について紹介します。

メディア制作・運営について、「美味しいワイン」というメディアはSEOに注力して46記事で月間50万PVまで伸び、アフィリエイト方式とスポンサー収入で運営しています。

※美味しいワインHP:https://wine-good.jp/

それ以外にもいろいろなメディアや、クラウド型の文章作成アドバイスツールの「文賢」などサービス運用もしています。

※文賢HP:https://rider-store.jp/bun-ken/

事業のポートフォリオはツール・サービスやコンサルティングなどさまざまなんですが、コンテンツの力が年々強くなっているという背景もあり、原点回帰として制作・メディア事業に力を入れていきたいなと思っています

2020年、さらにウェブライダーが意識し始めたこと

2020年からさらに意識したいこととして7つのポイントを整理してきました。今日はこれを順番にお話していきます。

1.打算的にならない

「打算的にならない」は、弊社で最近とくに気をつけていることです。

打算的とは、何をするにも自分の損得ばかりを計算高く考えていることを言うんですよね。

打算で動くと、マーケティングでもこちらの都合が見透かされてしまうわけです。

 

例えばSEOでも「キーワードの含有率」「平均滞在時間」などのテーマがありますが、この言葉にはユーザーが置き去りになっていることがあります。

弊社は「会社 辞めたい」という3万字の記事で上位表示しているんですが、ユーザーの悩みや思考に寄り添ったコンテンツが求められてきていると感じています。

今日お伝えしたいのは、打算的な考えを取り払ってほしいということ。

打算があると、「操作してやろう」というような印象がサイトやページに乗り移ってしまうんですよ。

人の心を理解するのは難しいですが、人に寄り添うという、この温度感が重要です。

人の行動は時に不合理で、深いということ。

Googleさんの研究によると、検索行動においても、私たちの行動はカオス、つまり混沌としているんです。

ここでぜひ覚えておいていただきたい用語が2つあります。

1つは「バタフライ・サーキット」です。

バタフライ・サーキットとは、検索時に「さぐる」と「かためる」という行動を繰り返していることを表現する言葉

情報検索には8つの動機があって、動機を行き来しながら検索する。

それほど人間の行動は複雑なんです。

もう1つが「パルス消費」

これは、私たちの24時間全てが買い物の時間だということです。

私たちは、買うつもりがなくてもいつの間にか購入しているということもあります。

この仕組みをGoogleさんは「6つの直感センサー」という言葉で表現しています。

このように、人間の消費者行動は非常に複雑なので、理解することが難しい。

さらに言うと、人の数だけ正義や価値観、視点があります。

パラメータに分けると、ランダムな行動トリガー、システム1、システム2、独自の正義・価値観、そして環境要因がある。

なので、一人ひとりに寄り添ってアプローチする必要があります。

もちろん、理解は難しくても分析・研究することはできます。

なので、みなさんにお願いしたいのは、数字を追いかけるのも大事ですが、人に関心を持って、人に敬意を払うことです。

こういうことをマーケターの方々が行うと、良い世の中になると思います。

「これで良いだろう」ではなく、「もっと喜んでもらうにはどうすれば良いだろうか」と、誠実に寄り添う。

そのように考えると、SEOも、「検索体験最適化」に落とし込むことができる。

まあこれは、キレイ事と言われるかもしれませんが、回り回って良い結果をもたらしてくれると思っています。

2.プロセスの見える化による、信頼性向上

SEOの最近の傾向として、企業サイトや大手サイトが評価されやすくなっているんですね。

Googleが用いている「Your Money or Your Life」という言葉がありますが、人々の人生や生活に大きな影響を与える金融、医療、健康、法律情報、子育てなどのクエリについては、安心・安全を確保するためにGoogleは慎重になっているんですよね。

そこで意識されているのが信頼性です。

この信頼性を担保するために弊社が意識しているのが情報や情報発信者の見える化ですね。

この情報は、誰がどんな風に発信しているのか。

これはプロセス(過程)という言葉に落とし込めると思います。

例えば、「美味しいワイン」という弊社が運営しているサイトでは、飲んだボトルを全て並べた写真をトップページに掲載しています。

こうして「私たちはワインを飲んでいるんですよ」という情報をしっかり見せることで、信用が生まれると思うんですよ。

これがプロセスを見せるということです。

だから何かのビフォアとアフターを見せる時に、その結果に至ったプロセスをしっかり見せることが重要だと思うんですね。

さらに言うと、時間軸を細かく区切れば区切るほど情報の信頼度は上がります

例えば、「弊社は良いサイトを作れる」というアピールをしたいのであれば、その制作過程をライブ配信してみても良いでしょう。

実は弊社の動画教材「ウェブライダー式SEO 超集中講座」という商品では、1つずつの動画が2〜3時間なんですが、あえて編集なしで、テロップも入れていません。

※ウェブライダー式SEO 超集中講座HP:https://web-rider.jp/writing-movie/

これは私の哲学があって、これだけの情報量をスラスラ話せるということは普段から思考しているということ、これだけの情報量を淀みなく伝えられるということは、自分のノウハウに自信を持っているということ、3時間近くノンストップで話し続けられるくらい、テーマに情熱を持って取り組んでいる、

という証になるんですよ。

なので、社内の思考プロセスをアーカイブなどの形で公開するということも良いのではないかなと思います。

3.プレゼンスを高める

うちは今、プレゼンスという言葉を大事にしていて、これは直訳すると「存在感」という意味なんですが、どんな施策を進めるときにも、存在感を⾼めていきましょうということを、中心に置いています。

なぜかというと、商品・サービスが選ばれる時というのは、頭の中で「そういえばあのブランドよかったな」とか、「そういえばこのブランド見たことあるな」という形で、自分の記憶とのマッチングによって行動に移すケースが多いと思うんですね。

相手の記憶の断片として残るためには、とにかく自分の存在感を色んな手段で相手に感じてもらう必要があるという意味で、プレゼンスという言葉を用いています。

いまはネットで情報収集する人が増えていますよね。

ということはネット上のプレゼンスが重要なのかなと思います。

4.エンゲージメントライティング

存在感を高めましょうということをお話しましたが、存在感を高めるために意識して欲しいことを紹介していきます。

この話をする上で紹介したいのが、「素敵なギフト」というギフト商品の選び方を教えるサイトです。

※素敵なギフトHP:https://nice-gift.jp/

いまは「古希祝いの選び方」と「出産祝いの選び方」という2つの記事と、編集部の個人的なエピソードのようなものの4つの記事がある、全部で6記事しかないメディアです。

もともとは、「超集中講座」の一環で、「質さえ十分に担保すれば、1記事しかないサイトでも上位表⽰するのか」を検証するために実験的に作成しました。

しかし、さすがに1記事しかなくSNS運用をしていないサイトで上位表示することはできませんでした。

公開したあとは何もしなくても54位まで上がっていたんですが、順位が落ちていった。おそらく信用が足りないと判断されたのかもしれません。

そこで、カミムラナナさんという女性に、「素敵なギフト」の看板を背負ってSNS運用してくれないかと頼んだんですね。

するとTwitter運用をしてしばらく経つと、カミムラナナさんを応援してくれる方の増加とともに検索順位も上昇していったんです。

これは本当にびっくりしたんですね。

そこで、Googleはコンテンツそのものだけでなく、コンテンツの背景情報として、誰がどんな思いで、どのようなアプローチで運用していて、どんな風に社会に貢献しているのか、ということも見ているんだということを知ったんですね。

カミムラナナさんは、Twitter運用にあたって、打算的に運用したくない、Twitterを楽しみたいということで、運用ルールを作りました。

その中でも、特に人が喜んでくれるような優しい言葉を投げかけたいということを大切にしていたんですね。

すると、仲間が増えていて、エンゲージメントが増えていった。

そこで私が作った言葉が、「エンゲージメントライティング」という言葉なんですね。

これは、相手と良好な関係を紡ぐライティングのことです。

「この人とつながれて良かった」と思ってもらえるような、「自分とつながった人たちが幸せになるアカウント」を自分のサイトやブランドと繋げることによって、全ての評価も円になって繋がる仕組みが、Googleの評価ロジックに組み込まれているのかなと思っています。

だからいまGoogleはすごく人間的なんですよ。

というわけで、エンゲージメントという言葉をぜひ覚えておいて欲しいです。

絆を大事にして、相手との絆を育てるライティングを意識すると良い関係性を構築できるかなと。

絆が強いからこそ、相手の中で自分のプレゼンスが高まっていきます。

5.マイクロコンテンツ

存在感を高めるためにはできるだけたくさん相手と接触する必要がありますよね。

そんな時に役立つのが、マイクロコンテンツという、小さなコンテンツをたくさん作ることなんですね。

例えば「美味しいワイン」では、1つの記事の中から派生したマイクロコンテンツを作って、それをFacebookに投稿しています。

そうすることによって何度も露出しますし、しかもマイクロコンテンツになることによって、1つの長い記事の中では見つけられないけれども、その一部分だけを取り出したものがあればすごく注目されます

例えば、ある料亭で和⾷コースを⾷べたとき、コースに出てきた料理が全部美味しかったら、その中に出てきた「ほうれん草のゴマ和え」とかは忘れてしまうじゃないですか。

けど「ほうれん草のゴマ和え」だけ単品で食べられると、関心が湧いたりしますよね。

つまり、1つのコンテンツを作ったあとは、そこから細分化してコンテンツを複数作れないかということを考えて、できるだけ高い頻度で発信していく。

そうすることで、どこかのタイミングで誰かの感情トリガーを引くことができます。

ツイートもマンガも動画もマイクロコンテンツです。

1回作ったコンテンツには、やはり思いやこだわりが詰まっていると思うんです。

そういったコンテンツを何度も再利用すると考えることが重要なんですね。

コンテンツを量産していくタイプの方もいらっしゃいますが、1つの濃いコンテンツを作って、その中の様々な部分をマイクロコンテンツとして出していく方が、より強いプレゼンスが得られるかもしれないということですね。

6.言葉を定義する

言葉を使う時は、意味をしっかり定義して使うことで深い情報伝達が可能になります。

例えば、「分かりやすい」という言葉があります。

この言葉は普段、色んなシチュエーションで使いますよね。

けれども私はよく思うんですが、「分かりやすい」という言葉ほど分かりにくい言葉はないと思うんですよ。

「分かりやすい」の意味をちゃんと定義してあげれば、この言葉からものすごい世界が広がる。

私はこの「分かりやすい」という言葉をこう定義しています。

「分割して咀嚼しやすい状態」こそが「分かりやすい」

例えば箇条書きって分かりやすいですよね。

やっぱり一つひとつの項目を理解しやすいように良い形に分割されているので、咀嚼しやすいわけですね。

このように考えると、普段使っている一つひとつの言葉を定義することが重要なんです。

何気なく使っている言葉を、ちゃんと自分なりに意味を説明できる。

そういうことを常に繰り返して行うと、意味の本質を伝えることにも視点が行きやすくなりますよね。

例えば、「SEO」という言葉がありますが、この言葉を私なりに再定義することによって私の中で意味が変わってきました。

「検索エンジン最適化」だと検索エンジンの⽅ばかりを向いているように思えてきたので、どうも時代に合わなくなってきた。

だから私は「検索体験最適化」(Search Experience Optimization)という風に置き換えています。

こんな風に普段使っている言葉を定義し直すことによって見える世界が変わってきたというのが、言葉を定義することの大事さです。

まとめると、自分がいま使っている言葉がそもそもどういう意味なのかを考えるということ、言葉を使う際は意味をしっかり定義して使うことで深い情報伝達が可能になる。

このように言葉を使うと、言葉に背景情報、つまり意味が宿ります。

背景情報が宿った言葉を一般的に何と言うか。

「パワーワード」です。

自分の持っている言葉をパワーワードに消化するためにはどうすれば良いか、これを考えると面白いと思います。

7.切り口を増やす

SEOの話になるんですが、Googleが求めている未来というのは、世の中にたくさんの情報を増やしてその情報を整理してインデックスするというところです。

世の中にない情報を増やせば増やすほど、検索結果は充実するわけですよね。

そうなってくると、Googleからも評価されやすいコンテンツになるわけですね。

SEOをやる上で重要なのは、Googleを攻略することではなく、Googleのデータベースを作るお手伝いをすることです。

この考えで、一番やってはいけないのはどこにでもある情報を量産することですよね。

情報を増やすことがSEOでは重要であり、その情報を増やすためには切り口を変えることも重要です。

食材も切り口を変えれば全然違う素材になります。

切り口を変えると、情報も増えますし、切った素材の中に眠っている価値も引き出すことができるということですね。

例えば、「美味しいワイン」では色んなワインを紹介していますが、これが難しいんですよね。

なぜかというとワインはグラスに入れると、どのワインも見た目がほぼ同じで、香りも味も表現が難しい。

「酸味」や「余韻」と言っても、被ってしまいますよね。

結局、点やグラフでしか見ていないから全部同じになってしまうんです。

この時に重要なのが切り口を変えることです。

例えば、時間軸で区切ってしまえば良い。

同じワインがあっても、まずボトルを置いた時の音、持ち上げた時の重さ、グラスに注いだ時の音や光の反射の角度、グラスからの香り、舌で味わった時の味、喉に通した時の余韻など。

このように切り口を増やせば、情報は無限に作ることができるのでおすすめです。

情報には文字情報だけでなくて、画像動画音声スライドなどもあります。

Googleは情報を集めたいので、SEOにおいては画像も重要なわけです。

同じような写真を撮るのではなく、「これが欲しいのではないか」という画像を公開すると評価されやすい。

消費者の視点で写真を撮ることによって、画像や写真の世界はまだまだアップデートできます。

おわりに

2020年、ウェブライダーは特に6つ目の方針「言葉を定義する」を意識しているんです。

弊社には「すべての人をヒーローに」という理念があります。

いまは誰かが誰かにとってのヒーローになれる時代なので、この視点を持つかどうかで見える景色が変わってくるということですね。

ウェブライダーは今年で10周年ということで、ウェブライダーという社名のとおり、今年も

良い波に乗り続けたいと思います。本当にありがとうございました。